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Archive for March 2010

19 March

絞りを絞るほどピントが悪くなるわけ

--139F-- 入力の知恵・画像の知識

見え方や写り方のしくみ part7
「絞りを絞るほどピントが悪くなるわけ」


おかしなタイトルだと思われる方もいると思いますが、
ここでの話は被写界深度の話ではなく、レンズの解像力の話です。

光は直進するだけでなく、いろいろな性質があります。
よく知られているものとしては「反射」と「屈折」が挙げられますが、
そのほかにも「回折」「干渉」「偏光」「散乱」などがあります。

鏡に自分の姿が写って見える原理は「反射」です。
雨上がりに虹が見えるのは光の「反射」と「屈折」の影響です。
レンズで焦点を作れるのも「屈折」のおかげですね。
シャボン玉がきれいな色に見えるのは、多分「干渉」の影響かな。
PLフィルターで反射をカットしたり空の色を濃くするのは「偏光」です。
太陽が低くなり夕方が赤く見えるのは「散乱」のしわざです。
夜明け前にだんだん明るくなってくるのも「散乱」の影響と、
そこに「回折」の影響も絡んでいるのです。
そして、CDの記録面がきれいな色を発するのも「回折」と「干渉」です。
つまり、光は波であると考えられます。

波が障害物とか狭いスリットがあると、その裏側に回り込むのと同じように
光が障害物やスリットやピンホールの裏側に回り込む現象で、
障害物に接する部分でわずかに進行方向が曲がるのです。
これを回折と言い、波長が長いほどほど大きく回り込みます。

絞りを絞り込むと、レンズを通ってくる光は絞りの羽根の隙間をすり抜けて
入ってくる事になります。
開放近辺では回折で曲がった量なんて全体量に対してほんのわずかですが
絞り込んで小さな穴をすり抜けてくると、光の全体量に対して
回折で曲げられた光の量が馬鹿にならなくなってきます。

さらに、受光面の面積の小さいデジタルカメラでは、
同じ画角では焦点距離が短くなるので、絞りの口径も小さくなります。
それを受光面の面積の小さい分だけ拡大する事になるので
回折やいろいろな影響も拡大されて多く受ける事になるのでしょう。

絞りを絞るほどピントが悪くなると言う投げやりな言い方を
ちゃんと表現すると、
「絞りすぎるとシャープさを失う」と、言い直しておきましょうか。


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