Complete text -- "見ているのに見えていない"
24 July
見ているのに見えていない
---143F--- 特集ルーム「見ているのに見えていない」
写真を始めてしばらくすると、思い通りに写らないとか、
どうしたらうまくなるのかという質問をよくされます。
思い通りに写らないと言う中でも、露出とかシャッター速度のような
技術的なものなら勉強と経験で自然と解決できる事なのですが、
ニュアンス的なところに問題がある場合は少々厄介です。
写真を始めてまだ年月が浅い時期に、技術的な壁にまずぶち当たります。
焦点距離と絞り値による背景のボケ加減やパース等の表現感覚、
シャッター速度のブレ加減、露出の過不足による画質の変化、
構図のとり方、調子の再現、カメラやレンズの特性など、
技術的な壁は、これらの事を勉強して経験を積む事で乗り越えられます。
次に来る壁が、何がいい写真なのかと言う素朴な疑問です。
始めたばかりの頃は、カメラを通してまわりの色々なものに目が向きますが
思い通りに写らない、どうしたらうまくなるのかに、いき詰った状態が来ます。
表現する楽しさからほど遠くなってしまうスランプ期かもしれません。
でも、これが大事な時期で、この時期に本来の何かを見つけることが
できるものなのです。
どうやったらうまく写せるのか一生懸命に努力してきて
一通りの節理がわかり、カメラも被写体もおおかた満足できるくらいに
扱えるようになり、失敗しない撮影ができるようになったのに。
本来の何かとは、写し方でもなくうまい写真でもないはずです。
見ている先が目的や被写体ではなく、それらをとりまく枝葉の部分ばかりに
視線がいってしまい、被写体を見ているのに意識が見えていないのです。
自分の主観をストレートに受け入れて、
今自分は「何を見ているのか」を意識して、それを再現するための撮影を
するだけでいいのです。
それが個性を決定づける撮影者の視線なのです。
Comments
コメントがありません
Add Comments
トラックバック
DISALLOWED (TrackBack)