Archive for 24 September 2011
24 September
残す写真と消費する写真
---157F--- 特集ルーム「残す写真と消費する写真」
いつも写真を写す事を仕事にしていますが、
その写真には大きく分けて2種類の目的があります。
それが、残すための写真と、消費されてゆく写真です。
残すための写真と言えば、記録写真や思い出の写真、記念写真ですね。
津波被害のがれきの中から探し出していた、とても大切なもの。
二度と撮れない思い出でもあり、心の拠り所にもなる写真、
時がたつほど貴重になるのも、記念写真です。
ですから、絶対に失敗してはいけないし、
そのときの気分で冒険した絵柄の物を撮ったとしても、
後々に恥ずかしくて他人に見せられないようなものでも困ります。
できれば、基本に忠実な、オーソドックスな撮り方の中で、
奇抜ではなく、少しだけオシャレな感覚を盛り込んだものまでが
おそらく、長く愛される写真になるような気がします。
そして、奇抜な撮り方や、斬新なアイデアで勝負していくのが
消費する写真、いわゆる広告写真、コマーシャル系な撮り方なのですが、
最近では、記念写真でもかなり理解され始めてきました。
本来は相対する撮り方のはずが、ニーズの多様化により、
そのはっきりした撮り方の違いが、今はミックスされ始めています。
だからこそ、今の撮影は基本がベースになっていないと、
とんでもない失敗を犯してしまう可能性をはらんでいるのです。
若いうちに、何度も失敗を繰り返して、いろんな経験を積んでおけば、
基本の重要さにも気づくはずです。
失敗と言っても、できませんでした...なんてのは論外ですよ。
納得できない写真になってしまったとか、恥ずかしい写真って事です。
広告写真なら、そのイベントが終われば、ポスターも剥がされて
次の新しいものに張り替えられ、チラシも捨てられ
その恥ずかしい写真も無かった事になってゆきます。
カタログ写真にしても、次の商品が発売されれば、
型落ち商品になり、製造中止でカタログから外されていきます。
このような消費される写真なら、いくらでもやり直しができるのです。
でも、一般の方が普段何気なく撮っている、わが子のスナップ写真や
記念写真が、こんなんじゃぁなかったんだけど...みたいな、
思いが違った写真だったら残念です。
あの時に、もっと沢山撮って、もっといい表情の写真を残しておけば
よかったナァって、後から思っても、もう何ともなりません。
ましてや、スタジオで撮ってもらう記念写真が、
何十年後かに、恥ずかしくてひとに見せられない写真だったら...
写真にできること。
撮る前に、少し考えて撮るようにすると、
今どうしたらいいのか、どう撮ったらいいのかのヒントになると思います。